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【感想】映画『サイドカーに犬』懐かしい人に思いを馳せる、良い時間になった。(竹内結子主演/2007年)

日の出が早くなってきて、朝、早く目が覚める。どうしてももう一度寝付けないときには映画を観る。Amazon Prime Videoで「観ようと思ってたけど見逃してた過去作」をゆっくり観るのに良い時間である。

 

竹内結子主演で2007年公開の『サイドカーに犬』。

サイドカーに犬

サイドカーに犬

  • 発売日: 2014/03/29
  • メディア: Prime Video
 

 

サイドカーに犬

あらすじ

1980年代の夏。キャリアウーマンとして不動産会社で働く薫(かおる)は、ふと、憧れの女性ヨーコを思い出す。

20年ほど前、薫が小学生の時に、家出した母と入れ違いで家にやってきたヨーコは、ドロップハンドルの自転車を駆り、タバコをふかす、母とは正反対の豪快な女性だった。

彼女は薫のために食事を作り、コーラの味や流行りの音楽を教えてくれた。犬を見て、犬がいいか飼い主がいいかという不思議な問いをしてくる。そして、互いに尊敬し合う友情の存在も。

しかし、父との諍いの末に家にいられなくなったヨーコは、最後の夏休みに付き合ってくれ、と薫を誘うのだった。

 

感想

1時間35分と、そんなに長くない映画なので、朝起きてご飯を作り始めるまでに観るのにベストな長さだった。

 

見たかった映画だったので、特にレビューや評価は観ずに視聴。あとでAmazon Prime Videoのレビューをみたら、あまりよく思っていない方の感想も書かれており、言われてみればなるほどなとは思ったが、自分が観てる間は特に気にならず楽しめた。

 

ストーリー的には、派手な事件や大どんでん返しがあるようなものではなく、日常を切り取った映画である。不動産会社で働く薫が、小学生の夏休みのことを回想する形で話が進む。

 

このタイプの映画の感想を、うまく表現するのは難しい。私にとっては、自分自身のある夏を思い出させてくれるくらいに、いい映画だったと思う。

Prime Video

Prime Video

  • 発売日: 2020/04/16
  • メディア: アプリ
 

 

私にも、ヨーコさんのような人がいた

薫にとってのヨーコさんのように、ふとした時に思い出す憧れの女性が、私にもいる。

 

大学生の時、イベントスタッフのバイトで出会った、ナカシマさん。

 

イベントスタッフの会社の社員さんで、確か関西出身で10歳くらい年上。小柄で、それこそ、竹内結子に似た美人だった。

 

そして、いつもどことなくオシャレ。化粧がばっちりとか、着飾っているとかではないのだけど素敵だった。

 

それに加えて、さばさばしていてフットワークが軽く、はっきりものを言うタイプの女性だった。はっきりしてはいるが、怒ったり、声を荒げたところは見たことがなかった。

 

そして当時19歳の小娘だった私にも、学生だからと特別な接し方をするでもなく、ヨーコさんのように気さくに接してくれた。そんなナカシマさんと仕事をするのが好きだった。

 

 

大学2年の夏休み、野外ライブでのグッズ販売の仕事があった。

 

現地に着き準備をしていたら、ナカシマさんが、私の周りでは見たことのないサンダルを履いていた。指先が覆われていて四角い穴がいくつもあいた、mont-bellのサンダルだった。crocsタイプのサンダル、と言えば想像しやすいだろうか。

 

「これ、ええやろ?めっちゃ便利やねん。サンダルだけど指まで覆われてて痛くないし、脱げにくくて。濡れても大丈夫やしな。裸足でも靴下でも履けんねん。」

 

その機能的なサンダルにも衝撃を受けたが、それをナカシマさんが履くとこんなにもおしゃれなのか、ということが更に衝撃だった。

 

遠征から帰って速攻で買いに行き、それからは部活でも愛用していた。その後、一足目がダメになる頃には、crocsのサンダルが大流行。部員の9割がはいていた。

 

しかしナカシマさんとお揃いだということが誇らしく、私は頑なに、mont-bellのサンダルを履き続けた。

 

 

ナカシマさんは関西支部の所属で、私がいた地域にはヘルプで来ていた。だから当然、帰るときが来たのだが、帰る前に、私のもう1つのバイト先、小料理屋に呑みに来てくれたことがあった。海外にでもいくような大きいサイズのオシャレなスーツケースを、小柄な体でガラガラ引いて。

 

実は、どんな模様だったか覚えてない。でも「さすがナカシマさん、スーツケースまでおしゃれ」と思ったのは覚えている。

 

気難しい小料理屋の親方とも早々に打ち解けて「良いお店ですねぇ。私も実は自分で小さいお店やるのが夢なんです。何時間居てもいいし、何して過ごしてもいいし、料理頼まなくても頼んでもどっちでもいい自由なお店(笑)」なんて話していた。

 

そりゃ経営厳しそうだな、と親方に言われていたけど、私は他のお客さんにビールを出しながら、頭の中では小さなカウンターのある店内で、お客さんと気さくに話すナカシマさんを想像した。

 

ナカシマさんとはそれきりだったと思う。なぜかまた会えると当然のように思って、「ナカシマさん、またね!」と言って見送ったと思う。不思議なことに、あんなに大好きだったナカシマさんの連絡先が、いつの間にかわからなくなっていた。

 

今では、あの時のナカシマさんの歳を追い越してしまったが、薫のようにあの夏をふと思い出しては、案外大阪あたりで、ほんとに飲み屋でもやってそうだな、なんて思っている。

 

まとめ

ヨーコは薫の父の不倫相手である。おまけに父は、堅気の商売ではなさそうな中古車販売の仕事を始める。そうなると、奥さんが家出するのも無理はないし、そこに不倫相手が転がり込んできてる図を考えるとハッピーな話とは言えない。

 

しかし、あらすじにあるように、歳が離れているにも関わらず芽生えた、ヨーコと薫の友情に心が温まる映画だったし、豪華俳優陣の自然な演技で、まるでどこかの街にほんとに存在していそうなキャラクターの雰囲気が良かった。

 

日常を題材にした優しい映画が好きな方にお勧め。

 

ちなみに、原作は長嶋有の短編小説『もうスピードで母は』に収録されているそうだ。原作を存じ上げなかったので、今度読んでみようと思う。

猛スピードで母は (文春文庫)

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