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『ノートルダムの鐘』の原作小説『ノートル=ダム・ド・パリ』が現代人にとって読みにくい理由

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                   Photo by Sung Shin on Unsplash

 ディズニー映画で有名な『ノートルダムの鐘』ですが、コロナウィルスの流行で福岡公演が中止になるまで、劇団四季でもミュージカルとして上演されていました。

 

ミュージカル版はディズニー映画のストーリーを基本とし、更に原作に寄せたもので、映画では描かれなかった、人間の愛おしさと醜さにスポットが当てられたものでした。

 

ビターで現実的なストーリーに衝撃を受け、これは原作も読まねば!と思い立ち、ヴィクトル・ユゴーの小説『ノートル=ダム・ド・パリ』を読み始めたのです。

 

 

しかし、普段から本に親しんでいるのにも関わらず、読破にかかった時間は8ヶ月・・・。

 

なぜこんなにも時間がかかってしまったのでしょうか?

 

 

親しんできた『ノートルダムの鐘』のストーリー

まず登場人物は、カジモド・エスメラルダ・フィーバス・フロローが思いつくでしょう。

 

そしてストーリーですが、冷酷な判事フロローに育てられ、ノートルダム大聖堂の外に出ることを禁じられてきた青年カジモドが、道化の祭りの日に初めて外に出てエスメラルダと出会い、恋や友情を知っていく・・・

 

私はディズニー映画に親しんで育ったので、そのように記憶していました。

 

しかし、そのストーリーが頭にあるからこそ、読破に時間がかかってしまったのです。

 

 

私がなかなか読み進められなかった理由

それは次のような理由です。

  • キャラクターがたくさん登場する
  • キャラクターや背景の説明が多く、ストーリーがなかなか進まない
  • 街や建物の細かな描写が多く、パリの街について多少知識が無いとイメージしにくい
  • 自分が覚えているストーリーが前提にあるが故に、「何の話だろう?」と思ってしまう 

 

まず、読み始めて最初に出てくるのは、ピエール・グランゴワールという劇作家です。カジモドが主人公だと思って読み始めた私は、まず出鼻をくじかれます。

 

しかし、主人公以外の目線で物語が進むのはよくあることなのでいいとしても、その後出てくるのは、国のお偉いさんや他国から来た使節団の人々・・・そして舞台である1482年1月6日のパリの様子が事細かに説明されていき、ストーリー自体は進んでいません。

 

やっとカジモドやエスメラルダが出てきたと思ったら、またもグランゴワールをメインに話が進んでいき、更にノートルダム大聖堂の様子やパリの街について、一章まるごと使って説明されています。

 

その後もストーリーが緩やかに進んではいるものの、合間にキャラクターや建物や街の説明が入るので、私の頭の中では流れが何度も途切れてしまいました。

 

しかも、モブのキャラクターにも名前がついていたりして、もうどれが主要キャラクターなのかわからなくなり、1節読んでは戻り、パンクしそうになると読むのを一旦やめ・・・といった具合だったので8ヶ月もかかったという訳です。

 

 

専門家も言い切っちゃう読みにくさ

19世紀のフランス文学の専門家である鹿島茂さんは、著書『大聖堂物語』の中で、読みにくい理由について下記のように述べています。

 

・・・あたかもオペラの長い前奏曲が延々と続くようでなかなか幕が開かないからです。

雑多な群衆の中からいろんな人物が次々にでてくるのですが、いったい誰が主人公なのかもわからない。

忙しい現代の読者にとっては、とてもではないけれどストーリーが動き出すまで待っていられないと感じられるようです。

           鹿島茂 著『大聖堂物語』はじめにP.4より引用

 

まさに私が陥った落とし穴そのものです・・・。

 

しかも同書のなかで「これを完読した人はかなり忍耐力のある人です。」とも述べており、専門家が言い切ってしまうくらい、なかなかに読み進めにくい小説であることがわかります。

 

19世紀のフランス文学に明るい専門家がそう感じるのですから、フランス文学にもパリの知識もない私が躓いてしまうのはしょうがないことだったんだと感じました。

 

ちなみに、『ノートル=ダム・ド・パリ』を読み終えてから、理解の助けになるものはないかと探して見つけたのが『大聖堂物語』でした。

 

 

こちらは、NHKの「100分de名著」という番組で、2018年に放送された内容をまとめたものです。

 

私が興味をもった時期の一年以上前の放送だったので、見られないことが悔やまれますが、『ノートル=ダム・ド・パリ』が書かれた時代背景や作者のヴィクトル・ユゴーの生い立ちについても書かれており、小説を理解するうえで非常に勉強になる本でした。

 

それでもハマり続けている『ノートル=ダム・ド・パリ

そんな苦労をしながら読み終えた小説でしたが、やはり現代まで語り継がれている名作というだけあって、今更ながら言うのもなんですが、とても面白かったです。

 

ミュージカル版がどんな要素を小説から取り入れたのか、というところもわかって満足でした。

 

そして、民衆の暮らしや文化、考え方、パリの街や建物のすばらしさ・・・それらへのユゴーの熱い思いが伝わってきて、ディズニー映画ももちろん良いけれど、小説の世界をもっと理解したいと思いました。

 

そんなわけで更に『ノートル=ダム・ド・パリ』の世界にハマり続けている私ですが、パリの文化にも街にも疎い私は、まだまだ理解できていない個所がたくさんあります。

 

まずはもう一度ストーリーを整理し、前後の流れで読み進めてしまったけど実はあまりわかっていない単語を調べ、パリの地図を広げながら登場人物の足跡をたどり、とことんこの小説を味わい尽くしたいと思います!