マンガ【鬼灯の冷徹】遂に最終巻!我々の気持ちを代弁してくれる鬼灯様が最大の魅力!!
2011年から連載が始まり、マンガ・アニメともに人気だった『鬼灯の冷徹』が遂に今年、最終回を迎えた。
最終巻である単行本の31巻は9月23日の発売で、大好きなマンガが終わってしまうことに寂しさを覚える。
(※コロナウイルスの影響で当初の発売日より1か月程遅れた)
今日は、自分が思う『鬼灯の冷徹』の魅力についてまとめたいと思う。
『鬼灯の冷徹』について
著者:江口夏美
「モーニング」にて、2011年14号にて連載開始、2020年6号にて完結。
アニメ:第一期+OADが、2014年1月10日~4月4日
第二期 第一クール2017年10月~12月、第二クール2018年4月~7月
作品紹介:モーニング公式サイトより
あの世には天国と地獄がある。
地獄は八大地獄と八寒地獄の二つに分かれ、さらに二百七十二の細かい部署に分かれている。
そんな広大な地獄で日々さまざまなトラブルに対処する鬼神がいる。
それが閻魔大王第一補佐官・鬼灯(ほおずき)である。
冷徹でドSな鬼灯とその他大勢のわりかし楽しげ地獄DAYS!
“冷徹”とは、考えなどが冷静で鋭く、物事の根本まで見通していること
である。
『鬼灯の冷徹』は、いつでも冷静沈着な鬼神の鬼灯様を中心に、地獄での日常を描いた漫画でありコメディである。(Wikipediaには、ダークファンタジー・ブラックコメディと記載あり)
ホラーやシリアスな話だと思っていた方もいるそうだが、時事ネタや現世の流行りをふんだんに取り入れて、細かくツボをついてくるコメディなのである。
そのシュールな面白さもさることながら、地獄や妖怪についての情報量が豊富で、とても勉強になる。神話の神々やヨーロッパの悪魔、エジプトの神や日本古事記に基づいたキャラクターも登場するので、その界隈の話が好きな方にはもってこいの作品である。
(※私はマンガもアニメも好きだが、もし文字情報が多いマンガがあまり得意ではない方がいたら、アニメを先に見ることをお勧めする。
原作に忠実な上にテンポがよく、鬼灯様の痛烈なツッコミをはじめ、それぞれのキャラクターの良さがより際立っているからである。)
『鬼灯の冷徹』最大の魅力
鬼灯様が私たちの気持ちを代弁してくれる
このマンガの魅力はとても語り切れないが、中でも私が思う最大の魅力・人気がある理由は、
現世の人間の気持ちを代弁してくれているところ
だと思う。
鬼灯様は笑わない。
主人公であるのにも関わらずニコリともしない。(表情が緩んだと思われる場面はあるが、読み手には見えない表現になっている。)
その上、どんな人にもはっきり意見し、言葉でわからないようなら手が出るので、“ドSキャラ”という位置づけになる。
しかし作者曰く「ドSというより、変な所で正論を言う人」とうキャラ設定だったそうだ。
そう、鬼灯様の言うことは、とにかく正論なのである。
しかも自身がストイックできっちり仕事をこなすため誰も文句が言えない。
地獄なので多少(?)暴力や強硬手段はとるが、見ていて腹が立つような、死後の裁判中だというのに口の減らない亡者や、地獄に落ちたというのに勤務態度や指導方法を偉そうに指摘してくる亡者などを、完膚なきまでにねじ伏せてくれる様は痛快である。
上司の機嫌を伺い、態度の悪いクレーマーにも丁寧に接することが求められる現世の社会人は皆、胸のすく思いだろう。
正しいことを正しいと言えない・言っても通じないことが多い日本では、声を大にしてド正論を言ってくれるのは、今のところ半沢直樹と鬼灯様くらいだ。
日曜夜の半沢直樹を見て月曜日からの仕事を頑張れるように、鬼灯様が上司どころか外交相手にも一歩も譲らず、対等に渡り合っていく姿を見て現代社会を生きていく気になれるのである。
現世からの信頼が厚い
実際、Youtubeにて公式が1話を期間限定配信すると、以下のようなコメントが見られた。
※投稿者のアイコン及びニックネーム等は伏せてあります。
『鬼灯の冷徹』への愛があふれたコメントやキャラ・声優陣に対するコメントが多いのはもちろんだが、
このマンガのような死後の世界や鬼灯様がいると思うと救われる、といった類のコメントも見られる。
本来恐れる対象であるはずの死後の世界への恐怖がなくなり、妖怪や神話、地獄という概念に対する理解が深まっている上、現代社会を生きるための心の拠り所となっているところが大変面白い。
※7月31日より公開され、9月22日現在も公開中。
【公式】鬼灯の冷徹 第1話「地獄大一番/地獄不思議発見」【期間限定公開】
まとめ
地獄どころか、生きている人間からも支持され、信頼が厚い鬼灯様。
「鬼灯様が裁いてくれるから大丈夫」
「あんな世界なら死ぬのも怖くない」
これらは、世界で古来より崇められてきた、神仏に対する考え方と同じではないだろうか。(「神様が見ている」、「良い行いをすれば、死後神の国にいける」等々)
日々の辛さや理不尽な出来事によるダメージを、「鬼灯様がいる」と思うことで緩和しており、宗教観の薄い日本で、地獄の鬼が神仏の代わりを果たしている。
真面目でストイック、何者をも恐れず正論をぶつける頼もしい姿・・・
しかし考え方は柔軟で、部下であろうと根っからのバカであろうと、話は聞き良いものは取り入れ、相手を認める心の広さ・・・
これらは、現世で求めても手に入らない上司の理想像である。
鬼灯様はそれに加え、変態気質でどこかズレていて可愛げがある。
それらが見れなくなると思うと、とても残念でならない。
地獄に勤める鬼ですら「現世の方が過酷」と言う現代社会である。
今後、現世に生きる我々は、何を拠り所にして生きていけばいいのか。
ますます人生に迷走する社会人が増えそうであるが、何はともあれ、現世での行いには充分注意したほうが良さそうだ。